ドラゴンクエストIV 導かれし者たち

レビュー
ドラクエ4の特徴はまず1「章立てのストーリー展開」。2「AI戦闘システム」。3「天空シリーズの序章」。これが3大ポイントです。
まず1について。ドラクエ全史を見渡しても、後にも先にも章立てストーリーはこの4だけです。
ストーリー進行のマンネリ化を打破するアイディアですね。これまで一人称視点で主人公への感情移入度を最大限に引き出してきた。それを4で五人称視点にしたことにより、感情移入の弊害になったとも言えなくもない。だからか、今作を最後に章進行のストーリーはない。補足すると、主人公の性別を選ぶことができるのは4だけである。そこまで感情移入度を上げる仕組みを構築してあるのなら、思い切って一人称視点に徹した4もプレーしてみたいものである。
次に2についてである。
戦闘参加人数の増加から生まれるコマンド入力の増加を軽減する為に人工知能を組み込んだキャラを作り、作戦を提示してそれに合わせて行動をオートでしてくれる。という当時は夢のようなシステムであった。もうひとつのAI戦闘システムの狙いは「自分と仲間で冒険している」という感覚をより演出する為でもあった。このシステムは4に続くシリーズにも受け継がれる。自分と他人をより浮き彫りにして「冒険擬似体験」を創出する堀井氏らしいRPG論の上に成り立っている。であれば、主人公が登場する第5章までの戦闘を全てAI戦闘にするぐらいの気持ち良さが欲しい所であった。(そもそも主人公以外の操作をせざるを得ない章立てのシステム自体が堀井氏のRPG論の元ではナンセンスなものだとは思うが)
最後に3について。考えるにロトシリーズとは「ロト」という「人の話」である。しかし天空シリーズとは家系ではなく「天空」という場所に纏わるエピソード集という傾向が強い。言ってみれば天空シリーズとは「場所の話」なんですね。このアプローチの違いも興味深いのである。